2012年03月18日

数値だけが先に決まっていて、しかもその数値が何故か変わらないという不思議

がれきの放射能測定、岩手・宮城 県外処理へ地ならし
http://www47.atwiki.jp/tsunamiwaste/pages/80.html


上記は昨年の記事ですが、これを見ると少なくともすでに昨年の7月の段階で全国で処理する予定の瓦礫の量(400万トン)が決まっていたという事になります。
また、最近のニュースでも「広域処理の対象瓦礫は400万トンで・・・」みたいに言ってるように、この量は変わっていません。

・・・・・これっておかしくないですか?

「被災地の復興のために全国で瓦礫を処理しよう」と言ってる方達は、「瓦礫が邪魔で復興が進まないところがあるから、その瓦礫については全国で処理しよう」と理由づけしています。
同じ瓦礫でも、復興の邪魔にならないところ(市街地から離れた場所)に集積場を設けてそこに置かれている物については「復興の邪魔」にはならないため、これらは現地で時間をかけて処理した方が被災地で今一番求められている「雇用」にもつながりますし、瓦礫の処理費用も安くすむでしょう。

全国で処理する瓦礫は、政府がまともな対応をしておらず集積場の確保に失敗したなどで「邪魔な場所にある瓦礫」のみという事になりますが、でもそれなら昨年7月の段階と、半年以上経った段階で「邪魔になってる瓦礫の量」がほとんど変わらないというのは相当変じゃないですかね?

広域処理対象の瓦礫量については、昨年7月どころか、確かもう少し前の段階(5月か6月頃)には400万トンと決まってニュースで流れたと記憶しています。
昨年の5月か6月頃ならまだ被災地では街中に瓦礫が相当残っていたはずで、集積場に移動してないものも多くあったでしょう。
集積場の用地の確保の方もまだできてないところは結構あり、街中の仮置き場にとりあえず置かれていたのも少なくはなかったと思います。
でもあの時から半年以上も経過した現在は、当事とはずいぶん状況が違ってるはずです。
途中でまともな用地を確保できたものはそっちに移動したでしょうし、街中に散らばっていた瓦礫も今ではほとんど集積場に移動できてると最近のニュースでもやっています。

それなのに昨年5月か6月の段階での「邪魔なところにある瓦礫の量」と、今現在のそれがほとんど変わらないというのは変ですよね。
「本当に邪魔な瓦礫」については、今では相当減ってるはずなんですが……。


「被災地で邪魔なところにある瓦礫」のみを持っていこうとするのではなく、被災地で邪魔になってないところの瓦礫までも全国へわざわざ持っていって処理しようとしてませんか?
瓦礫処理には大量の税金が投入されるのですが、それが被災地にそのまま落ちて復興につながるならともかく、わざわざ被災地から大量の雇用を奪ってまで、莫大な運送費用をかけて全国に拡散するのは本当に阿呆な対応です。
民主党は他の事でもそうですが、自分らが一度決めた事はそれが最良の方策と勝手に思いこみ、ろくに見直しもせず推し進めようとしてますよね。
TPPや消費税増税(これらについては賛否あるでしょうが)も、一度自分らが決めた事は正しいと思いこみ、もう周りの意見にはろくに耳を傾けず推し進めようとするし。


瓦礫の広域処理に賛成してる方は、「復興の邪魔になる瓦礫があるから、それについては全国で処理しなければいけない」と言ってます。
でも実際に「邪魔な場所にある瓦礫」については昨年の5月6月段階と、半年以上経過した今では相当違ってるはずですが、全国へ持っていく量(400万トン)は当時も今も変わっていません。
これには違和感を覚えませんか?

「全国に拡散する瓦礫の量(全国の産廃業者がありつける量)」の『数値』だけが先に決まっており、それを達成しようと政府は無理やり押し通そうとしてるようにしかみえません。
被災地での雇用を創出するのが急務のはずが、邪魔ではない場所に積んでる瓦礫までも持っていって被災地から雇用を奪い、処理費用を何倍にも膨らまして税金を大量に無駄に使って処理するというのは本当にふざけた対応としか言えないです。
馬鹿な対応で数千億円も無駄に予算を膨らますなら、その分をそのまま被災地の雇用増のために使ったり、4月からより詳細な検査を強いられるようになる被災地各所の農家や漁師がより多くの検査をきちんとできるように税金で検査機器を充実させる事に使った方がはるかにいいと思うのですが。

posted by wanwan at 00:02| 記事 | 更新情報をチェックする

2012年03月16日

「焼却灰を埋め立てると最終処分場の周辺が汚染される」という事をあの島田市が証明したという皮肉

http://gomitanteidan.blogspot.com/2012/03/20120314.html

最終処分場の排水土壌から300Bqの高濃度セシウム。

島田市でがれきを焼却した後の焼却灰は、初倉にある最終処分場に運ばれる予定になっています。その処分場の浸出水の処理施設の排水口下の土壌から300Bq/kgのセシウムを地質学会に所属する専門家である大石貞男氏が測定しました。

島田市周辺は、大体20Bqから30Bq/kg。周辺部の10倍も高い値が検出されました。でたらめな環境省ですら一般環境中には、100Bq以下と指示する中で、大井川に流れる排水口から300Bqもの放射性セシウムが流れ出しているのは大問題です。

このセシウム土壌が検出された地点の2km下流には伏流水から周辺の飲み水を採取し、また汚染水が大井川に流れ込んでいることになれば、漁協にも大きな影響を与えることになります。(原子炉規正法による排水規制は90Bq/l<ほぼ=Bq/kg>)

新潟県知事が「全国の市町村に放射性廃棄物の処分場を作るような国は日本だけだ」と懸念していたことが、島田市で現実となって露呈したといえます。

(引用終了)



まず誤解がありそうなので、その点を解消しておきましょう。
放水口下の土壌が300ベクレル/kgと、周辺より大幅に汚染されているのは確かでしょうが、これは「排水が300ベクレル/lだったかどうか」はこの土壌の数値からはわかりません。その点では上記の引用元は少し間違ってる部分があると思います。

上記の調査結果については、「瓦礫を受け入れたせいで最終処分場の周辺が汚染された」というわけでもありません。
まだ本格的に瓦礫は受け入れてないし、試験焼却で発生した焼却灰の量も微々たる物だからです。
元々島田市は以前から焼却灰からkgあたり48~68ベクレルとかその程度出ていたのです。

この調査結果で重要なのは、「放射性物質が含まれる焼却灰を埋め立てると、最終処分場の浸出水は放射性物質が含まれた状態で放出する事になり、周辺の土壌や河川、下流域に汚染を引き起こしてしまう」という点です。

可燃ゴミの焼却灰の埋め立て地(最終処分場)については、地盤に遮水工事をした上でそこにどんどん埋め立てていくのですが、そうするとどうしても雨などで水が埋め立て地内部に浸透し、遮水層上部まで溜まってしまいます。
そのため、埋立地内部に溜まった水(浸出水)については常に排水をする事になっており、この排水の前には浄化処理をしてから周辺河川や下水に放出するという事になっています。

今回の調査では、「全国各地の最終処分場が装備している浄水設備では、放射性物質はまともに除去できない」という事を示しています。
まともに除去できてたら、放水口付近の土壌が周囲より大幅に汚染されてるという事は起きてないはず。
他にも群馬県の伊勢崎市の最終処分場の排水から基準値を大幅に越えたセシウムが検出された事もありますし、今回の島田市の最終処分場のケースが特別というわけではないようです。


「放射性物質を含む焼却灰を最終処分場に埋め立てると浸出水に放射性物質が溶け込み、そのため周辺の土壌や河川、下流域に大量に垂れ流す事になる」・・・・これは事実であり、重く受け止めないといけません。
金属やプラスチック瓦礫リサイクルの際も洗浄処理などで排水に放射性物質が含まれる事になります。
北九州とか佐賀とか稚内とか他色々な所が連鎖的に瓦礫受け入れを表明し出していますが、「汚染された焼却灰を最終処分場に埋め立てたりリサイクルすると、排水で放射性物質が周辺に流れ出し、土地や河川・流域の湾岸を汚染する事になりますが、それをきちんと知った上で、また住民にきちんと知らせた上で受け入れを表明したのですか?」と各知事や市長、町長に問いたいですね。
「受け入れの際には住民にきちんと説明してる」とか言ってるところが多いですが、そういう事は全然説明してないですよね。
まさかこのニュースを見て「そんなの初耳だ・・・」とでも言うのでしょうか?
徳島の環境課とかはこの点きちんと理解して瓦礫受け入れを拒否していますよ?

どうしても受け入れを行う場合、最終処分場やリサイクル施設の排水処理にはもう一段階浄化設備を増築し、放射性物質をできるだけ除去するようにしないといけないでしょう。
排水中の放射性物質検査も一日数回きっちりやらないといけない。
そのためには導入コストやメンテナンスコスト・検査などで一処理場につき数千万円ほど余計なコストや手間がかかると思いますが、これをきちんとやらないとまともに浄化もせずそのまま放射性物質の含んだ水を周辺に垂れ流し続ける事になります。
設備の増築も数ヶ月かかるでしょうから、それまでは受け入れはできないでしょう。
家庭ゴミとまぜて焼却灰の1kgあたりの汚染度を低くしようとしてたりしますが、結局埋め立てる放射性物質の量は変わらないため、染み出してしまう量も一緒ですよね。

きちんと新たな浄化設備を設けたとしても、もし埋立地の遮水層に破損箇所があったら地下水や周辺河川に浄化設備を通さず漏出させる事になるという問題もあります。(遮水層の破損は結構起きています)


最終処分場やリサイクル処理施設の周辺住民や流域で農業や漁業などに従事してる方には、「放射性物質に多少汚染された瓦礫を受け入れるけど、その場合は埋立地やリサイクル処理施設から放射性物質の含まれた水を大量に放出して周辺を多少汚染するから」とか、「汚染を起こさないために新たな浄化設備を導入します」という事をきちんと説明してから受け入れるのが筋ではないでしょうか。
なんか「瓦礫を受け入れても周辺に汚染は起こらない。」とだけしか言ってないところが大半のようですが、今装備されてる設備じゃそれは無理ですよ。
まともな対策しなかったら、今回の島田市や他の最終処分場で起こってるように排水による周辺の汚染が起こるでしょう。


今回の例みたいに、もし瓦礫を受け入れたところがあったら、最終処分場やリサイクル施設の排水口付近や下流域の土壌の検査をして汚染を早期発見して公表するという手も使えるでしょうね。
すでに瓦礫の受け入れをしている山形とか東京でも市民や研究者が測定すると面白い数値が出てくるかもしれません。
汚染焼却灰を大量に受け入れていた奈良の御所市も重阪最終処分場の排水口付近の土壌を検査してみてはどうでしょうか。
私有地に入っての測定ならともかく、敷地外で排水口の下流の土壌などを調べるのなら問題ないでしょう。
放射性物質だけでなく、津波のせいでいろいろな化学物質が瓦礫にしみこんでるため、それらがきちんと除去できてるかも山形や東京などでは検査するべきでしょう。


<最終処分場の排水だけでなく、資源化処理場の排水も同じように汚染されます>

最終処分場や、金属やプラスチックなどのリサイクル施設の排水の話ばっかりになっていますが、焼却灰については・・・

1.処分場でそのまま埋め立てる
2.資源化処理場でセメントや非鉄金属などの原料に加工する

の二種類の処理方法があります。
1のみだと最終処分場がすぐ埋まってしまうからです。

「放射性物質を含む瓦礫を受け入れると最終処分場から汚染された排水がどうしても周辺に出る」というのと同じように、「放射性物質を含む焼却灰を処理場で資源化すると、設備の洗浄の際などの排水に放射性物質が必ず含まれて垂れ流す事になる」のです。
実際に、以前にも紹介しましたが、市原エコセメントが1000ベクレル/lの基準値を大幅に越えた汚染水を長期間大量に東京湾に垂れ流していた(設備の洗浄水)のが発覚して問題になりましたよね。
(ちなみにゼオライトで一回浄化しててこの数値です。)

さすがに市原エコセメントほどひどくはないでしょうが、もし北九州や稚内・他で瓦礫受け入れを行った場合、焼却灰を埋め立てだけでなく資源化処理するところでは、そっちでも排水に放射性物質が含まれる事になって周辺の汚染を引き起こします。
どうしても瓦礫を受け入れて処理する場合は、排水をしっかり問題ないレベルにまで何回も浄化する設備を導入しないといけないでしょう。
以前書いたように、毎日数回排水検査もし続けないといけません。(市原エコセメントは頻繁に検査してなかったために長期間基準値を大幅に越えた汚染水を放出し続けてしまった)
最終処分場と同じように、浄化設備の導入コストやメンテナンスコストとかで予算が結構かかるでしょうが、これをきちんとやれないようなら受け入れするべきではない。

(細かい事ですが、寿命がきたバグフィルターの廃棄処理場でも、同じように排水の汚染が起きるので、こっちでも浄化設備を導入させるはめになります。これをやらないとこっちでも汚染を引き起こす事に)


<他所に埋め立てや再処理を依頼していたところは、場合によっては「受け入れを拒否」されて突然焼却業務に大きな影響が出るはめにも……>

また、「最終処分場や資源化処理場から、焼却灰の受け入れを拒否されてしまう」というケースも出てくるでしょう。

焼却炉で発生した灰については、市内の関連施設で埋め立てや処理をしてるところもありますが、同じ県でも別の市や、また別の県に焼却灰を処分してもらってる焼却場も少なくありません。
「汚染された焼却灰を埋めたり処理すると、(そのままでは)最終処分場や資源化処理場周辺に放射性物質を垂れ流す事になる」という事を処分場・処理場周辺の住民が知ったら受け入れに対して猛反対されるでしょう。
汚染された排水を周辺に垂れ流して環境を汚染してしまうと、周辺住民からその最終処分場や資源化処理場の管理会社に対して民事訴訟を起こされて、敗訴すると多額の賠償を支払わされるはめになるとしたら、会社側もそう易々と受け入れはできなくなってしまいます。
汚染を引き起こさないために浄化設備を新たに増設する場合は、焼却灰を搬出するところに全額負担してもらわないとわりにあわないですよね。

もし「放射性物質の含まれる焼却灰は受け入れはできない」と処分場や処理場から拒否されると、その焼却場は焼却業務にまで影響が出てきます。
(今やってる一般ゴミと混ぜて焼却では、一般ゴミの分とあわせて大量に引き受け拒否されるはめに)
焼却灰はどんどん出続けるのに、持っていく場所がないのでしばらく敷地内に貯める事になり、慌てて別の引き受け先を必死になって探すはめになる事に…。


最終処分場や処理場周辺の汚染については、瓦礫の引き受け先だけでなく被災地でもしっかり対策をしないと周辺に汚染を引き起こしたり、引き受けを突然拒否されて焼却業務が機能不全でストップするはめになってしまうでしょう。

posted by wanwan at 12:14| 記事 | 更新情報をチェックする

2012年03月12日

時々破損事故を起こしているバグフィルター

<時々破損事故を起こしているバグフィルター>

「瓦礫を全国で処理しよう」と呼びかけたり、その意見に賛同している方は、国の「バグフィルターでほとんどの放射性物質を取り除けるから周辺には漏れない」を真正直に信じてしまっていると思います。
でも、そのバグフィルターについては調べていくと、バグフィルターの性能以前に、「時々破損事故を起こして、穴があいた状態に気づかずに運転してだだもれになった事が過去に何度もある」との事。
どこの焼却炉でもこのようなケースが必ず起こるわけではないでしょうが、全国各地できちんと対策せずに処理をすると、おそらく中にはバグフィルターの破損に気づかずに運転を続けて放射性物質やアスベスト、有害化学物質を含んだ灰をだだもれさせて、周囲を汚染させてしまうところも出てくるでしょう。
これは本当に取り返しのつかない事になります。

以下にバグフィルターの性能や事故についてのリンクを貼りました。
(文章が長いのもあるので、リンク先は後で改めて読んでください。)
「バグフィルター 破損」などのキーワードで検索すると、他にもぼろぼろ出てきます。

・バグフィルター1
http://papamamamesen.jugem.jp/?eid=155

・バグフィルターは安全か?~清掃局職員の方とのやりとり
http://togetter.com/li/160308

・バグフィルタや焼却炉の排ガスに関する森口先生とのやりとりのまとめ
http://togetter.com/li/247481


内容をかいつまむと・・・・

・バグフィルターは取り扱いや寿命の問題で、自治体や民間企業が所有する焼却炉では時々破損事故(穴があく等)が起きてしまっている。
・高い温度のまま排ガスをバグフィルターに通過させると穴があく事がある。かといって低い温度だと目詰まりを起こす事がある。(排ガスの温度調整は結構難しい)
・破損事故の中には2001年の野田市みたいに、「バグフィルターに穴が空いてるのに気づかず、長期間だだもれになっていた」ケースがある。


という感じです。

「バイパス」の話もおまけにありますね。
本来なら排ガスは必ずフィルターを通さないといけないのですが、炉の運転開始時は排ガスの温度の調整が難しかったり、また他の要因などで、たまにフィルターを迂回して生で排気してしまう事もあるそうで。
これは地域によっては排ガスをバイパスして排出するのを禁止してるところもあるようですが、容認してしまってるところもあり、事業者が「ばれないから」と短時間でしょうがそのまま生で排出してしまってる事もあるようです。

フィルターに破損が起きた場合は即座に排ガスの異常を検知して運転を止めさせる事ができるところもあるようですが、これも全部がそうではなく、大半の焼却炉では排ガスを一定間隔(数ヶ月)単位で収集・検査しているとの事。
当然ですが、異常があった場合はこれでは発見がかなり遅れます。
前述の野田市のケースでは、排ガスの検査結果が出るまで半月ほどかかり、しかもその排ガス検査も一定間隔をあけて行っていたため、実際は数ヶ月間ほどだだもれになっていたようです。(野田市については以後リアルタイム検査機能を搭載したようです)

あとバグフィルターの話ではないですが、「焼却炉は完成から年月が経つほどガタがくる。内部の一部は定期的に改修・補修などしているが、それでもところどころ漏れたりしてる。」との話もありますね……。
完成から年月が経った焼却炉はそういう危険があるので引き受けさせない方が良さそうです。
(でも国はそういうのをまともに考慮してないでしょうね・・・)


瓦礫の全国処理を容認してる方、呼びかけてる方は、「バグフィルターで放射性物質をほとんど捕らえられるので周囲には漏れない」と思いこんでるようですが、そのそもそもの前提がおかしいとしたらどう思うでしょう?
「バグフィルターは放射性物質を捕らえる能力に疑問が持たれている。しかも時々破損事故を起こして、穴が開いた状態に気づかずにだだもれになった事が過去に何度も起きている」と知ったら、それでもあなたは「日本全国で瓦礫を処理しましょう」という意見に賛同したり、呼びかけを続けられますか?
私だったらとてもじゃないですが「無理」です。


<バグフィルターの破損問題は広域処理とはまた別に考えないといけない>

この話は「だから全国で処理はやめましょう。現地で処理しましょう。」というとこで話を終わらしてはいけないと思います。
「すでに東京や山形みたいに引き受けを開始してるところはどうするの?」とか、「広域処理するかどうか以前に、8割以上を現地処理する事は元から決まっているが、では現地で放射性物質の漏出が起きないようにしないといけないのでは?」まで話を広げないといけないでしょう。
また、関東や東北では一般ゴミの焼却炉の灰から結構な量の放射性物質が検出され続けているため、関東や東北などでは瓦礫を焼却してないところでも「対策」を急がないといけないでしょう。

私は焼却炉や埋立地周辺に多くのポイントを設けて一、二週間単位で土壌や降下物検査をする事を提案しましたが、それとは別にフィルター類がもし破損した時の事を考え、排ガスのリアルタイム線量検査もやるべきなのでは、と思うようになりました。前述のリンク先の一つでもこれは提案されていますね。
フィルターに穴があくなどで想定外に大量の放射性物質が漏れた場合は、煙突から出て拡散する前の段階で排ガスをリアルタイムに線量検査しておけば即座に異常を発見できるのではないでしょうか。
フィルターを通った後~煙突の先端までの間(煙道)に、線量計を設置してリアルタイムで線量計測を行うと。(分岐してる場合は分岐前に設置したり、分岐後に複数設置したり)

データについてはリアルタイムで一般公開させるようにしないと、事業者の中には後でデータを改竄したり、漏れてても隠蔽してしまうところが出てくるでしょう。

排ガス検査をやれば、周辺の土壌検査や降下物検査はもうやらなくていいかというと、これについてはやはりやっておいた方がいいと思います。
周辺汚染の発見については、何段階も異常を検知する機構を設けておいた方がいいでしょう。
(異常を検知する機構が少ないと、想定外なルートから漏出が起きていた場合は気づかずに長期間放置されて汚染を進めてしまう事があるため)

「バグフィルターの異常を検知する機能」がついても、結局穴が開いたら停止するまで漏れてしまうわけです。
焼却炉は緊急に停止する事は難しく、停止まで結構時間がかかるようで、そのままでは異常時にそれなりの量漏出してしまうと。
すでに被災地の瓦礫を受け入れてる山形や東京の各施設や、これから受け入れをしてしまうところ、そして被災地の処理場については、「フィルターを多重構造に改修させる事(新設の場合は多重構造式に設計させる事)」と、「フィルターの定期検査の間隔を短めにする事」、「フィルターの交換頻度の短縮」を義務化しないといけないでしょう。
コストがかかるでしょうが、これをやらないところは引き受けるべきではない。

既存の施設にフィルターを新たに追加するのは難しいかもしれませんが、被災地で建設中の物なら設計段階でフィルターの多重化をさせるのは難しくないでしょう。
また、すでに被災地で完成した仮設焼却炉についても、きちんと多重構造にしているか改めて確認する必要あり。


<可燃物の焼却炉や、バイオマス発電の炉の「寿命」の話>

バグフィルターとは話がずれるのですが、私が仮設型の焼却炉を現地で多く作って処理した方がいいと思っている理由としては、他にも「炉の寿命」の問題があるからです。
内陸部の瓦礫はともかく、沿岸部で津波により海水をかぶってしまった瓦礫については、色々な化学物質や塩分がかなりしみこんでしまっているわけです。
全国各地の焼却炉でそれらを処理すると、各々の自治体や民間が所有している炉の寿命を縮める事になってしまいます。
(これは一般のゴミ焼却炉だけでなく、バイオマス発電用の炉でも同様に寿命を縮める事になります。山形や東京の一部バイオマス発電プラントがじゃんじゃん燃やしてしまってますが…)
想定より早く炉の寿命が来て大幅に改修したり立て直すはめになると、当然ですが各々の自治体や国、民間業者にとっては「余計な負担(コスト増)」となるわけです。

しかし、元から長期間(数十年)の運用は考慮していない仮設型の焼却炉の場合は、三年+α程度の運用を予定しており、多少炉の寿命が縮んでも寿命が来るよりずっと前に役目を終えて解体する事になるから問題は無いのです。
(解体時の放射性物質や化学物質のしみこんだ炉の廃材の処理については、また別に考えないといけないでしょうが)

これは現地の焼却炉についても当然考慮すべき話で、今現在おそらく沿岸部の瓦礫は岩手や宮城、福島(原発近圏の瓦礫はのぞく)、茨城などでは一般のゴミ焼却炉でも処理してしまっていると思います。
でもそれでは炉の寿命をどんどん縮めてしまって、想定よりも早く改修したり立て替えたりするはめになります。
津波で発生した瓦礫に関しては、一般の焼却炉ではなく、長期の運用はしない仮設型焼却炉でのみ処理するようにした方がいいでしょう。


<「排水」によって引き起こされる汚染問題>

あと広域処理については、もう一つ「排水」の事も考慮する必要があると思います。
焼却炉や、焼却灰を引き受けてセメントや非鉄金属などの資源化を行う処理設備の清掃の際には汚水が発生するのですが、排水前に放射性物質をできるだけ除去してから放出するようにしないといけません。

・排水から15倍濃度セシウム 東京湾に放流1カ月半 市原の廃棄物処理会社
http://blog.goo.ne.jp/wa8823/e/ff82ac3be273dfb6453a03db23371931


上記のニュースは結構見た方も多いでしょう。市原エコセメントという業者がセメント製造設備を清掃する際に発生した汚水を東京湾に1日約300トンペースで放出していたのですが、定期検査で1000ベクレル/lほどの汚染が発見され操業を停止した事がありました。
最初に異常を発見してから1ヶ月半近く放出を続けており、しかも実際は検査前から異常はあったかもしれないとの事で、もっと長期間基準値を大幅に越えた汚染水を放出し続けていたようです。

全国で瓦礫を引き受けたところでは、焼却炉や、焼却灰を資源化する設備を清掃する際に発生する汚水についてもきちんと考慮しないと、同じように河川や湾岸の汚染を引き起こすはめになります。
(これは被災地で処理する場合も同様です)

排水についてはゼオライトやその他の物質などでできるだけ放射性物質を除去してから放出するようにしないといけないでしょう。
ちなみに上記のニュースでは、市原エコセメントでは「搬入する灰の汚染度を1000ベクレル/kgまでと制限していた上で、さらに放出する排水はあらかじめゼオライトで放射性物質を減らしていた」との事。「一回浄化処理をしたから大丈夫だろう」と思っていたら、実際はそうではなかったと。
この事例を鑑みると、一度の浄化処理だけではなく何回も浄化処理を繰り返してから放射性物質の濃度をできるだけ薄めて放出するようにしないといけないようです。
また、市原エコセメントの例では検査の頻度が空いていたため汚染水の放出を長期化させてしまいましたが、こういう事態を回避するには、各施設に簡易測定器(線量ではなくベクレルを計測できるやつ)を導入させて一日数回の頻度で排水中の放射性物質検査をするよう強制しないとダメですね。
基準値も厳しめの設定にした方がいいでしょう。
中には「ゼオライトなどによる除去ではなく水で薄めて基準値以下にして放出」をやるところも出てくるかもしれませんが、浄化でなく水で薄める場合は結局総量としての放射性物質放出量は変わらないので意味がありません。こういう方法はもちろんアウトです。
(浄化処理に使ったゼオライトの処理も考えないと……。放射性物質を吸着しまくって高汚染度になるでしょうし。)

ところで奈良の御所市にある南都興産というところが千葉や神奈川・他で引き受けに困っていた汚染焼却灰を受け入れて大量に奈良に運んでいた事が最近判明して話題になっています。
これについては奈良県とかの断りなく勝手に民間で引き受けしてたんですかね?(それとも奈良県の知事などは知っていた?)
この焼却灰は埋め立て以外にもし資源化もしていた場合は、同じように排水の汚染を引き起こしてる怖れがあります。
もし一部を地域の焼却灰資源化施設に搬入していた場合は、そこは「奈良だから排水の汚染は無いだろう」と思って今までと変わらず通常の処理をして放出していたかもしれません。
これについては、しっかり奈良県などが調査しておかないといけないでしょう。
対応如何では知事や市長が槍玉に挙げられる事になりそうです。
「なんで県は県内の業者が勝手に大量に受け入れしていたのを認識していなかったのか?」とか「知っていたなら、行政として汚染物の処理についてきちんと確認・指導していたのか?」など……。


考える事が多すぎて嫌になった方も多いでしょうが、環境汚染については「一度汚染を引き起こすと元に戻すのは難しい」ため、こういう風に色々予防策を考慮し、何重もの対策をしないといけないわけです。
「全国で瓦礫を引き受けよう」と安易に言ってる方やその意見に賛同している方は、ご自身の今までの発言はとりあえず置いておいて、今一度もう少し深く考えてみてはどうかと思うのです。

「自分の意見をどうしても捻じ曲げたくない」という方や、変に面子にこだわる方ならともかく、そうでない方は、瓦礫の広域処理問題を深く知れば知るほど、「うーん、そういう色々な問題があるのか……。ちょっと安易に瓦礫受け入れを呼びかけてしまったかな……。」と考えを改めた方もいるのではないでしょうか。
posted by wanwan at 15:43| 記事 | 更新情報をチェックする

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