2012年04月25日

大飯原発などの一時的な再稼動を仕方なく認めるかわりに、関西電力や政府へ脱原発を約束させるべき

私は脱原発派ですが、いきなり全ての原発を廃炉できるとは思いません。
短期的な視点で見れば、電力供給を安定させるためにいくつかの原発の再稼動は嫌々ながらも認めざるをえないと思っています。
ただし、一部原発の短期での再稼動は認めるかわりに、他の発電方式を増強していき、将来的な脱原発を行う事を今のうちに電力会社や政府へ約束させるべきでしょう。
原発再稼動を認める条件として、脱原発の方へシフトさせると。
あれほどひどい国土の汚染を引き起こした原発事故から一年も経つのに、未だに減原発や脱原発の話になっていないのはおかしいです。


原発依存率が高い事もあって、関西電力管内での今年の夏や冬の電力需給状況はかなり厳しい物になるようです。

「関西電力が原発を再稼動させるために数字をいじっている。」みたいな意見もあるし実際そういう部分も多少はあるのかもしれませんが、「原発なくてもなんとか供給が間に合う」と言ってる人も楽観的すぎるように見えます。
私はこのまま原発を再稼動させない場合は、節電では到底カバーしきれるものではなく、大規模停電が発生したり、計画停電をして関西圏の経済に莫大な損害を与える事になりかねないと思います。

あれだけ昨年は「節電してください」とあちこちでふれまわっていたのに、結局関西は夏も冬も低調な節電率に終わりました。(ピーク時の節電率が関東が20%近くだったのに、関西は5%以下です。同じ関西人として非常に情けないです。)
関西人が自己中心的な人が多すぎるのか、それとも元々節電をしててこれ以上節電しきれなかったのかわかりませんが、今夏や今冬で昨年以上の大幅な節電ははっきりいってあまり期待できないでしょう。
ピーク時の電気代を上げたり、電力使用制限令を課したら節電率は昨年より多少は上がるかもしれませんが、正直10%越えるかどうか。
昨年ピークの時間帯に5%以下の節電しかできてなかったところが、今年は襟を正して15~20%節電できる・・・・・・かというと、これはちょっと無理があるでしょう。


原発事故も恐ろしいですが、実害がでる停電(計画停電だけでなく突発的な停電も)は回避しないといけません。

計画停電をやった場合や突発的な停電が起きた際の実害についてももっと考えるべきだと思います。
その上で皆の同意を得た上で「計画停電やりましょう」というならともかく、関西圏での経済的な被害を考えずに一部の人が「計画停電をしてもかまわない」みたいな意見になってるのには違和感を覚えます。

<計画停電や突発的な停電で被る被害>

・製造業によっては連続運転しないと物が作れないところがある。自家発電装置を備えてないところは、計画停電の時間帯だけでなく、その前後かなりの時間も製造設備が使用できなくなり、製造計画が多いに狂い大幅な損害を受ける。
・損害を受けて業績が悪化した部品メーカーが死ぬと、その部品の納入先のメーカーの業績にまで響いてくる。(特定の部品は製造・加工のノウハウや特許を持ってるところが潰れると入手が難しくなります)

・大学や研究施設では菌やウィルス、薬品の保管で温度を一定に保ち続けないといけない物がある。自家発電機を搭載してるところはともかく、そうでないところは菌やウィルス、薬品の保管に問題が出てくる。(育てた菌やウィルスが死滅したり、高価な薬品が使い物にならなくなったり)

・個人宅では人工呼吸器などを使ってるところでは、停電により命の危険に晒される事になる。行政から借りた発電機によってカバーできればいいが、使い慣れてない発電機を閉めきった屋内で使用してしまい、一酸化炭素中毒などによる死亡事故を引き起こす場合もある。(発電機を密室で使った死亡事故は昔からよく起こっています。)

・店や一般住宅に備えられているセキュリティ装置は電気がないと正常に動作しない。計画停電の時間帯を見計らって強盗団などに襲われる場合がある。(実際関東の計画停電ではこういう事件が何件か起きました)

・道路の信号などの消灯により人身事故が発生して重症を負う人や、場合によっては死に至る人も出てくる。(これも昨年の関東の計画停電では実際に何件も起きたもの)

・店や外食・流通では停電具合によっては傷んだ食品の廃棄で損害が出る(冷凍物は数時間の停電はともかく、冷蔵物は夏場は冷却できないと傷みやすい)
・もし店が傷んでる食品をそれと気づかずに販売した場合(外食でもそれを使った場合)、大規模な食中毒を引き起こす事になる。個人宅の冷蔵庫も電源断で食品が傷んだのに気づかず食べた場合は同様に食中毒の問題が出てくる。
(食中毒は一時的な下痢・嘔吐などを引き起こしただけで後遺症なく回復する場合もあれば、内臓系に不可逆的なダメージを与えて重い後遺症を残す場合もあります。場合によっては死に至るケースも)
・HDDやフラッシュメモリなどを搭載したPCやゲーム機・レコーダーなどは、動作中に突発的な停電にあうと大切なデータが破損する場合がある。


経済的な損害や人命・健康被害については関西電力に賠償請求するところも出てくるかもしれませんが、大半が被害を受けた人々の泣き寝入りで終わってしまうでしょう。
「電気は十分足りている」と安易に言ってた人は何の責任も取りません。

「停電による数々の実害」をきちんと認識した上で、「計画停電をやりましょう」とか「需給バランスがギリギリで突発的な停電が起きても仕方ない」みたいに言うならともかく、実害をあまり認識してないでそういう風に言ってる人がいるように見えます。
停電については突発的な停電はもちろん、計画停電もなんとか回避するようにしないとダメでしょう。


「大飯原発の三・四号機を再稼動すれば供給量に問題はなくなる」みたいに一部で勘違いさてるようですが、実際は大飯原発三・四号機を再稼動した場合でも電力供給量は昨年に比べてかなり落ち込む事になります。
おそらく政府は大飯原発の再稼動を皮きりに、関西では他の原発もいくつか再稼動させるつもりだったのでしょうが、初っ端でつまずいてしまい、原発を再稼動できても大飯原発三・四号機のみになるのではと。
(今の状態で、「まだ電力が足りないので、他の原発も再稼動させて欲しい」なんて言い出せませんよね)

大飯原発の三・四号機を再稼動した場合でも、供給力は節電を行った昨年のピーク時の電力需要量には全然届いておらず、関西圏では昨年以上に厳しい節電をさせないと(特にピーク時の電力使用を減らさせる施策を家庭・企業に強制させる)、「原発を再稼動したのに、関西で大規模停電が起きてしまった」という事になりかねません。
しかし前述のように「昨年ではろくに節電できなかったところ(関西)が、今年は心を入れ替えてきちんと節電できるのか?」という不安があります。


全国の原発をこのまま再稼動させずに全て廃炉へ向けて進められたらいいのですが、短期的な視点で見ると残念ながら経済的な損害他を発生させないために一部の原発については再稼動せざるをえないでしょう。
これは関西だけでなく、他の地方でもそうです。
関東などは「ギリギリ供給が需要を上回る」みたいな試算がありますが、電力供給は「ギリギリ」だと一部発電所の突発的な稼動停止が起きた際に需要が供給を上回ってしまい大規模停電が起きてしまうため、多少余裕を持たせないといけないです。
「昨年は節電が成功した」と多少気が緩んで、関東や東北・その他の地域では昨年よりも節電率が落ちる事も考えられます。
関東などの試算は節電率は昨年のデータ(20%)で計算した上で「ぎりぎり供給が上回っている」という事になってるのです。節電率が落ちると、供給が需要を上回るどころか足りなくなってきます。
(試算が2010年の猛暑ベースなので、実際の気温がそれより低ければもう少し余裕が出てくるかもしれませんが、こういうのはきつめの数字で見ておかないと結局気温が高くなった場合に大規模停電が起きてしまいます。)


ただし、再稼動については何の条件も無しに認めるべきではなく、下記のような条件を電力会社や政府に飲ませてから地元や周辺県は許可するべきだと思います。

1・老朽化した原発は再稼動対象外とし、再稼動させる原発は必要最低限とする事
2・電力が厳しい時期のみ再稼動させ、春や秋はもちろん、夏や冬のはじめや終わりなど、電力需要が完全に低くなる時期は再稼動した原発を停止させる事
3・政府に全国の老朽化した原発と、危険性の特に大きいもんじゅおよび浜岡原発の廃炉を現段階で約束させる事
4・原発依存率の高い関西電力には原発以外の方法での電力供給力をここ一、二年で増強させて、来年や再来年にはなんとか原発を再稼動させない、あるいは再稼動させる原発を今年以上に減らさせる事(他の電力会社も今以上に原発意外の発電能力を増強させる)
5・全国の電力会社および政府には、短期では減原発、長期では脱原発を現段階で約束させる事



2については、身も蓋も無い事を言ってしまうと、原発を停止してても炉内や燃料プールの核燃料は冷却を続けないといけないので津波や地震の影響があるわけですが、原発を稼動させる時期を限定する事で、「原発稼動中に地震が起きて、想定外で制御棒を挿入できず、原子炉が暴走した」というリスクを減らす事はできます。
今まではこういう事態は起きないと言われていたわけですし、福島原発事故でも制御棒の挿入自体は正常に行えたようですが、数々の「想定外」を見てきた今となっては、原発の稼動期間を少なくして余計なリスクは極力減らすべきだと思います。

3については、もんじゅは発電もしてないし、高速増殖炉の研究といっても実現の目処が全然立っておらず、しかももんじゅ完成からどんどん年月が経って老朽化していっており事故の危険性が増していってます。
無駄な金食い虫のもんじゅはもうこのまま稼動させる事なく廃炉にすべきでしょう。
浜岡についても、立地条件や事故が起きた際の影響範囲を考えると、もうこのまま廃炉させるべきです。

4については、関西電力には今年は大飯原発の再稼動を認めるにしても、来年や再来年・それ以降も同じ感じで再稼動させられてはたまったもんではありません。
原発依存率の高すぎる関電には、早期に依存率を下げるよう強制させるべきです。

5については、短期では一部の原発を再稼動を許可させるとしても、長期では脱原発に向けて強制すべきです。
昨年の実績からすると、多少の節電効果があったとはいえ、全国に原発は54基も全然必要無い事がわかってしまいました。
現段階でも半分はもうこのまま再稼動する事なく廃炉を決定しても電力供給は間にあうのではと。
数年の短期では「減原発」を、長期では「脱原発」に向けて動くよう仕向けるべきです。


なお、原発が停止してても、燃料貯蔵プールに保管してる核燃料の冷却を続けないといけません。
今はほとんどの原発が停止していますが、福島のように大きな津波がきて冷却装置が破壊されバックアップ装置もうまくいかないと、停止中の原発でも福島のような大規模災害を引き起こす事になります。
短期の視点では燃料貯蔵プールの補強工事を行ったり、冷却装置の設置箇所の変更をしたり、外部電源の増強をしたり、また燃料プールはできれば核燃料を密集しないように配置しなおす。(といっても置く場所限られているので無理かもしれませんが)
バックアップの電源車もコストはかかるでしょうが、各原発近所に余計と思えるほど多めに配置しておく。
長期の視点では、沿岸部ではなく、内陸部へ使用済み核燃料を移動してそっちで冷却を続けるようにした方がいいでしょう。
(まだ発熱してる燃料は果たして移動できるのか?という疑問がありますが)

内陸部へ移動する場合は、

・周辺の地層を調べて、直下型地震の起きない場所や洪水や山崩れなどの起きない場所を選ぶ
・市街地から距離を取る
・冷却が正常に続けられるよう、くどいほど何重ものバックアップ体制を構築する
・建物や燃料プール自体、かなり強めの地震にも耐えられる構造にする
・キャスクはもちろん、燃料ペレット自体も密集させない形に分解する


など、立地や冷却体制、施設の強度などをきちんと考慮した上で、より安全な場所へ燃料棒を移動すべきです。
広域処理の瓦礫では排ガスや排水による周辺の汚染が気がかりですが、核燃料の場合は冷却がきちんとできれば周辺に汚染を引き起こす事はないでしょう。


このまま再稼動をつっぱね続けるとうまくいくかというと、実際は関西などでは夏場に入り何回か大規模停電が発生した後、「仕方ないので一部の原発を再稼動せざるをえない・・・」みたいな流れになって、国や電力会社に何の条件も飲ませる事なく一部の原発を再稼動させられるはめになるでしょう。
今のうちに「もし再稼動するなら……」と、上記の条件をあらかじめ飲ませておくべきだと思います。


減原発や脱原発では、原発に関わってきた人々の雇用転換についても考えないといけません。
補償して他業種への転職などを促すしかないでしょう。

なお、現在全国で原発の停止を続けているわけですが、原発の稼動や使用済み燃料の処理を請け負ってる会社の一部倒産などの話がじょじょに報道され出しています。
これらの会社は原発停止のために収入がなくなり、経営が苦しくなって倒産するところが出てきそうとの事です。
これは結構軽視されていますが、かなり大きな問題だと思います。
長期では脱原発を実現するとしても短期では一部の原発は残念ながら再稼動しないといけないと思いますが、その際原発を正常に稼動させられるスタッフがいる会社が無くなってしまっていたら、あまりノウハウのないところが原発の運転を担当してしまい、人為的ミスで大事故を引き起こす事になりかねません。
原発村への余計な税金投入は回避すべきですが、原発運転に関わる会社や人員の一部については税金を多少使ってきちんと残しておかないと、まともな原発運転はできません。
(今すぐ全原発を廃炉できるなら、原発運転を担当する会社は必要ないでしょうが)
将来の脱原発へ向けて、今は嫌々ながらもこういう会社は(全部ではなく一部を)残しておくようにすべきでしょう。


posted by wanwan at 19:34| 記事 | 更新情報をチェックする

2012年04月10日

言ってる事と実際にやってる事が全然違う環境省

今までの基準(100ベクレル/kg以上の物は一般処理できない)と、環境省が事故後に無理やり策定した規準(8000ベクレル/kgまでなら処理してよい)が二重基準だという事で、あちこちからつっこまれています。
広域処理の瓦礫受け入れを安全性や、県や市や町産物への風評被害の観点から拒否する知事や市長、町長が最近は日本各地で次々と出てきていますが、彼らもこのおかしな点に対して環境省に明解な説明を求めていたりします。

それに対して環境省はかなり苦しい言い訳をしています。

環境省が用意した広域処理の「よくあるご質問」のページ
http://kouikishori.env.go.jp/faq/#anch13

では、

Q13.クリアランスレベルの100ベクレル/kgと指定廃棄物の基準8,000ベクレル/kgの2つの基準の違いについて教えて下さい。

A13.100ベクレル/kgと8,000ベクレル/kgの二つの基準の違いをひとことで言えば、100ベクレル/kgは「廃棄物を安全に再利用できる基準」であり、8,000ベクレル/kgは「廃棄物を安全に処理するための基準」です。詳しくは、「100Bq/kgと8,000Bq/kgの二つの基準の違いについて」pdfへリンクをお読み下さい。


と回答していますね。
最近は広域処理のお願いのために日本のあちこちに環境省の役人を派遣してますが、この言い訳でなんとか通そうとしているようです。

「埋め立てなら8000ベクレル/kgまでならok。ただし再利用する場合は100ベクレル/kgまで。(だから二重基準ではない)」との事ですが、焼却灰のセメント化(再利用)のニュースを度々見てた方なら、この回答にものすごい違和感を覚えたのではないでしょうか。


環境省が現在設定している焼却灰のセメント工場の受け入れ基準は「8000ベクレル/kg」なんですよね。
どこが「再利用の場合は100ベクレル/kgまで」なんだか。
言ってる事とやってる事が全然違いますよ。
環境省自身が作成した「100Bq/kgと8,000Bq/kgの二つの基準の違いについて」のpdfでも「8000ベクレル/kgは埋め立ての場合のみ」とは書いていても、セメント化などの再利用の場合も8000ベクレル/kgまでokとは書いていません。
(後からこっそり改訂しますか?)

http://www.toseishimpo.co.jp/modules/news_detail/index.php?id=657

上記のニュースでも、しっかり

多摩地域のごみ焼却施設17カ所と都環境局は、17日までに主灰や飛灰などに含まれる放射性セシウムの濃度測定結果を公表した。これを受け、日の出町と東京たま広域資源循環組合は19日、エコセメント化施設で受け入れる焼却灰の放射性セシウム濃度を1キログラム当たり8千ベクレル以下にするなどの特別協定を締結した。循環組合は、「8千ベクレル以下であれば、製品段階で問題はない」としている。

と書いてますし、原発事故後に出たあちこちのセメント工場の焼却灰受け入れに関する様々なニュースでも軒並み基準は「8000ベクレル/kg」でした。
(場所によっては、その8000ベクレル/kgをベースに独自基準として数分の一に落とすところもありましたが)


広域処理Q&Aで言ってる「埋め立てなら8000ベクレル/kgまでならok。ただし再利用する場合は100ベクレル/kgまで。」が本当なら、今後セメント化工場が受け入れる焼却灰の基準値を100ベクレル/kgまで一気に落とさないといけないでしょう。
この基準を守ろうとすると、関東や東北の焼却灰は、多くの場所でセメント化不可能という事になります。多くの地域で焼却灰は100ベクレル/kg以上を余裕で越える数値を叩き出し続けています。
また、広域処理の瓦礫はプラスチックや金属については再利用も考えられていますが(山形と東京は確かすでに一部でリサイクルを始めていたはず)、これらも軒並み100ベクレル/kg以上のは受け入れしないようにさせないといけないでしょう。
広域処理分だけでなく、関東や東北での通常の廃プラスチックや金属のリサイクルでもそう。


瓦礫受け入れに難色を示している市長や町長、知事などは、「埋め立てなら8000ベクレル/kgまでならok。ただし再利用する場合は100ベクレル/kgまで。だから二重基準ではない。」と環境省の役人に言われたら、今度は「あれ?じゃあなんでセメント工場の焼却灰の受け入れ基準は8000ベクレル/kgと高いままなんですか?再利用の場合は100ベクレル/kgなのでは?」とつっこんでやったらいいと思います。

posted by wanwan at 22:45| 記事 | 更新情報をチェックする

瓦礫少量の遮蔽時の線量とベクレルの関係



http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/resource/disaster-waste/kankyo-taisaku.html

上記のページは、東京都が引き受けている瓦礫の検査結果を掲載しています。

以前テレビで見た時は、「瓦礫のサンプル検査については何ベクレルか計測している」みたいに言われていたので、てっきりサンプル検査ではベクレルを計測しているのかと思いましたが、瓦礫のサンプルを鉛の小型の箱に入れて空間線量を遮断して何マイクロシーベルト/hであるかの線量計測しかしていないようです。
(あと、数トンクラスのコンテナ1個につき、それぞれ1箇所・少量の塊ずつしか検査してないようです。各PDFの上の方の空間線量計測では「平均」とついてるのに対して、下の方の瓦礫のサンプル検査データでは「平均」はついておらず、各コンテナにつき1回分の計測データしかありません。ものすごい杜撰なサンプル検査ですね。)

多くの方が指摘されているように、「そもそもサンプル検査では瓦礫全体の平均的な汚染度は計れない。」という問題はあるのですが、このサンプル検査ですら瓦礫が何ベクレル/kgであるかの検査をまったくしていないと。

簡易検査や詳細検査では検体を細かく砕く必要があるので、そのためベクレルの計測をやっていないのでしょうか?
でもコンクリとかならともかく、木屑などは粉砕は普通に可能だと思いますが。実際木材のベクレル検査をしたケースは過去のニュースでも何度も聞いた事がありますし。

遮蔽時の線量だけデータとして掲載されても、正直「この線量だとkgあたり何ベクレルなの?」みたいな疑問がありますよね?
みんなが知りたいのは何ベクレル/kgなのかという数字なのですが。


ところで、東京都は「瓦礫のサンプルを鉛の小型の箱に入れて計測した際の線量(遮蔽線量)が0.01マイクロシーベルト/h以下なら運び出して良い」としています。
(東京都が作成した各PDFにも「搬出基準 遮蔽線量率(A)=<0.01マイクロシーベルト/時」、「遮蔽線量率とは鉛の小箱に瓦礫を入れて・・・」という風に書いています。)

瓦礫のサンプル検査は、以前見たテレビの映像では、およそ1kg分くらいの瓦礫を鉛でおおった箱に入れて遮蔽して線量を計測していたと記憶しています。

http://yanagase.org/2011/11/04/%E9%9C%87%E7%81%BD%E7%93%A6%E7%A4%AB%E3%81%AE%E5%8F%97%E3%81%91%E5%85%A5%E3%82%8C%E3%81%8C%E5%A7%8B%E3%81%BE%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%90%E3%81%9D%E3%81%AE2%E3%83%BB%E8%A6%96%E5%AF%9F%E5%A0%B1%E5%91%8A/

検索すると、上記サイトに検査の様子の画像がありますね。

計測に使う箱自体はそこそこの大きさがあるのですが、そこに入れられた瓦礫は握り拳より一回り大きい程度とかなり少量で、この量だとだいたい重くても1kgとかその程度でしょう。
仮に計測に使った瓦礫の重量を1kg分とし、これを遮蔽して計測した場合、例えば搬出基準値ギリギリの0.01マイクロシーベルト/hを示した場合は、その瓦礫は一体何ベクレル/kgでしょうか?
これについては別のニュースが参考になるかもしれません。


「140万ベクレル/kgのつばめの巣」というニュースを見た事がある人もいるのではないでしょうか?

福島の大熊町で採れたつばめの巣を千葉県の放射線医学総合研究所で計測したところ、kgあたり140万ベクレルあったとの事。
また、巣(1個分だったと思います)を至近距離で線量計測したところ、毎時2.6マイクロシーベルト/hの値を示したようです。(この場合は空間線量を遮断せずに計測)

計測に使われたつばめの巣の具体的な重量はわかりませんが、一般的なつばめの巣1個の重量はだいたい300gやもう少し軽いくらいでしょうか?

重さを300gとして、kgあたり140万ベクレルなら、総量としては140万ベクレル/kg*0.3kgの計42万ベクレルという事になります。
42万ベクレル分の放射性セシウム(134と137の合計)と他の核種が付着した物に線量計を至近距離まで近づけて計測すると、2.6マイクロシーベルト/時の値を示したと。
(ちなみに「50cm離すと0.08マイクロシーベルトまで落ちた」とも報道されました。)
千葉の空間線量が0.05~0.1くらいだとすると、遮蔽時の線量は2.5マイクロシーベルト/hや、それを少し越える程度という事になると思います。

東京の瓦礫のサンプル検査に使っている量は仮に1kgとして、その1kg分の物が遮蔽して計測した時に搬出基準ギリギリの0.01マイクロシーベルト/hを示した場合は、つばめの巣のデータから推定すると汚染度は1680ベクレル/kgという事になります。
つばめの巣の重量や、瓦礫のサンプル検査の重量が実際は正確にはわかってないのでこの数値はおよそ2倍~1/2くらいの幅が出てくるとは思いますが、それでも東京の搬出基準(遮蔽線量で0.01マイクロシーベルト/h)は、100ベクレル/kgとか200ベクレル/kgとかそんな生易しいレベルの基準値ではないのはわかるでしょう。
瓦礫は焼却すると何十倍にも濃縮されます。東京の一般ゴミと混ぜて薄めるつもりでしょうが、混合比率によっては国の緩めの基準値8000ベクレル/kgさえ越える灰ができてしまうでしょう。


「搬出基準値0.01マイクロシーベルト/hといっても、そこまで出ている物は今のところはない」と言われるかもしれません。
確かにそうです。東京都の結果でもサンプル検査では0.01に近い値はまだ出ていません。
ただ、瓦礫は個々に汚染度は全然違います。これは東京が出してるデータでもしっかり証明されています。
PDFデータを見ると、同じ場所の瓦礫でもサンプル瓦礫の遮蔽線量が一定ではなく、計測ごとにかなり数値に幅があるのが見てとれるでしょう。
場所が変わってもまた違ってくるというのがありますから、今の値だけ見て安心するのはどうかと思います。


そもそもこの「サンプル瓦礫の遮蔽線量が0.01マイクロシーベルト/hまでなら搬出してよい」とは一体何を根拠に設定した数値なのでしょうか?
ベクレルで言えば、国の設定値でも「瓦礫の運び出してよい汚染度は200~500ベクレル/kg程度まで(焼却すると何十倍にも濃縮されるので)」という事になってるはずです。
ところが実際は東京都はその何倍にも高い汚染度の瓦礫まで運び出して良いという事に設定しているようです。ベクレルではなく線量値での基準値設定と計測しかしてないので気づいてない人も多いようですが。

この値を搬出基準のままにすると、0.008マイクロシーベルト/hとかでもokという感じで、サンプル検査で1000ベクレル/kg以上普通に出ていても「運び出して良い」という事で、国などが想定している緩めの汚染度よりもっと高い物が普通に搬出されてしまう事になりかねません。
また、もし瓦礫を受け入れてしまう他の自治体が東京の基準を真似てしまうと、サンプルで余裕で千ベクレル/kg以上出ていても、それに気づかずにじゃんじゃか全国へ運び出してしまう事になるでしょう。
遮蔽線量ではありませんが、コンテナの空間線量については、大阪は東京の設定値を真似たような値の設定をしています。(「100ベクレル/kg以下の瓦礫しか引き受けない」などと言っておきながら、何故かコンテナの空間線量とかは東京の数値をかなり真似た高めの設定にしている。)
サンプル検査の搬出基準値(遮蔽線量)についても東京の設定をろくに検証せずそのまま取り入れてしまうところも出てくるのでは、と危惧します。


サンプル検査では瓦礫の全体的な平均汚染度を導き出せないとはいえ、判断のための一要素として、このサンプル検査においても線量ではなくしっかり何ベクレルかを検査して示すべきだと思います。
ベクレルではなく線量の表示だけでは「そのサンプルが何ベクレル/kgか」がわかりませんし、何のためにいちいち瓦礫のサンプルの遮蔽線量を計測してデータとして添付しているのかという事になります。

posted by wanwan at 17:19| 記事 | 更新情報をチェックする

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