2015年03月26日

検査対象縮小の不自然さと危険性について

今回私がここで書く事は、ブログやtwitterをお持ちの方は是非リンクして拡散していただきたい。
チェルノブイリ周辺国がやっているのと違って、日本はかなり杜撰な対応を続けているからです。


今年も『また』放射性物質検査の対象品目が縮小されるようです。
『また』と言うのは、検査対象の縮小は今回が初めてではなく、以前にも何回か行われていたからです。
原発事故からまだ四年程度なのに、国は何度も検査対象縮小をやっており、どんどん検査品目を減らしていっています。
チェルノブイリ周辺国では、何十年経った今も、数多くの品目の検査を義務化しているのに。


ニュースなどでは「不検出(検出限界以下)が続いた品目を検査対象から除外する」みたいに紹介しているところもあり、それだけを見ると、「検出限界以下ばかりの品目を検査から除外するのは妥当な対応だろ」と言い出す人もいるでしょう。

でも実際は、普通にセシウムが検出されている品目が、何故か不自然に検査対象から除外されていると知ったら、みなさんどうお感じになるでしょうか?


今回ではなく前回の話ですが、2014年4月にも検査対象の縮小が行われ、その際にレンコンは「もう検査しなくてもいい」みたいな感じになりました。

さて、福島では「ふくしま新発売」というサイトを開設しており、ここでは農産物の過去の検査結果が確認できます。
福島県内で検査した結果を、ここで全て掲載しているとの事。

ふくしま新発売
http://www.new-fukushima.jp/

ここの左上の「農林水産物モニタリング情報」をクリックし、「品目」は「根菜・芋類」で、「レンコン」にチェックを入れ、期間は「2011年1月~2015年3月」にして検索してみてください。

検査結果を見ると、原発事故から四年も経つのに、たった7件の検査結果しかありません。

検査数のあまりの少なさにもつっこみたいところですが、何よりもその内容。

7件のうち3件はNDではあったものの、残りの四件については50ベクレル~80ベクレルくらいと、普通に検出限界以上、わりと多めにセシウムが確認されています。

検査結果が少ないので、もしもっと検査数を増やしていたら、あちこちで50ベクレル越えのが連発しているでしょうし、中には基準値の100ベクレルを越えた物も普通に見つかっていたかもしれません。

でも、レンコンについては、何故か2014年4月の検査品目縮小で「もう検査しなくてもいいよ」みたいな事になったのです。
その前年の2013年10月の収穫期に採れた物は50ベクレルも検出されていたのに。

今回ニュースで流れた「検出限界以下だから検査対象から除外した」というのは、完全なまやかしだという事を、是非みなさんには知っておいてもらいたい。


さて、国側が「もう検査しなくてもいいよ」とした品目については、じゃあ生産者は実際にもう検査しなくなったのでしょうか?

今回のレンコンみたいに福島では検査をしなくなった物もありますが、国側の意向に反して検査を続けている物もあります。
生産者ごとに考え方は様々で、「もし検査をしなくなったら、消費者が福島産の物を今以上に忌避するようになるのは明らかだ。今買ってくれている人でさえ、『え?検査しなくなったの?』と知った途端、もう買わなくなってしまう人が続出するだろう」と考えて、検査を続けているところもあります。


「検査品目を国側が縮小しても、自主的に検査を続けているところがあるなら大丈夫だ」と思う人もいるかもしれませんが、「検査したい生産者のみが自主的に検査を続ける事」と、「国側の指導で各地域できちんと定期的に抜き打ち検査を続ける事」には、かなり大きな隔たりがあります。

たとえるなら、スピード違反してないかどうかの機械を常時作動させていた道路で、突然「もうスピード違反のチェックはしません」と宣言するようなものです。

機械を取り除いたら、「それでも私は制限速度を守る」という人がいる一方で、「スピード違反のチェックをしていないなら、違反してもいいだろ」みたいな人が必ず出てくるのです。

「生産者側の自主検査」のみにまかせてしまうと、同じ事が起こってしまいます。
「抜き打ち検査をされないなら、農産物への放射性物質抑制対策をきちんとやらなくてもいい」と思ってしまう生産者が必ず出てきてしまうのです。

これは、米の検査でもそうです。
今は福島では全ての農家で米の全袋検査を行っていますが、これは何があっても今後ずっと続けるべきです。
もし「基準値以下が多いから全農家検査はやめましょう。検査を縮小しましょう。」みたいな話が出て、それを実際にやってしまうと、農家によっては、もうセシウム対策をまともにしなくなるところが必ず出てくるのです。


また、今現在ND(不検出)が続いているところであっても、農地の汚染度が上昇したり、カリウムの効果が切れたり、あるいは深耕して深いところに埋めたはずの高汚染の土壌が、土壌内の生物(ミミズやモグラ、他)によって掻きまわされて、いつの間にか地表の方へ少しずつ移動して植物が吸収しやすくなったりする事も懸念しないといけません。


NHKでは原発事故以後から原発関連のドキュメンタリー番組をいくつも放送してきましたが、その中で原発事故から数十年経ったチェルノブイリ周辺国の現状やきちんとした対応を紹介していた物もありました。

チェルノブイリ周辺国では、農地の検査は細かく区画を分けてセシウムとストロンチウムの両方の土壌検査をし、片方が土壌の規制値以下の汚染度であっても、もう片方が規制値以上だった場合、「食用の作物は生産してはいけない」という事になっています。

NHKのドキュメンタリーで紹介された話では、「汚染度が低かった農地が、年月が経つごとに、徐々に汚染度が上昇していった」という事例も紹介されていました。
一時的に農作物が「ND」になった農地も、実際は後で農地の汚染度が上昇する事があるのです。
放射性物質は砂埃や枯れ草、枯れ葉などの形で風によって周辺へ移動するため、一度除染して農地の汚染度を落としても、年月が経つと農地の周辺から放射性物質が飛来してきて、どんどん上昇していったりする事が普通にあるのです。

また、カリウム施肥でセシウムの吸収を抑制するのはチェルノブイリ周辺国でもやっていますが、カリウムで吸収を抑制できるのはセシウムのみです。
ストロンチウムや他の放射性物質は、カリウムでは吸収は抑制できません。

だからこそ、チェルノブイリ周辺国では、農地をこまかく区分けして土壌のストロンチウム検査もしっかり行い、たとえセシウムが土壌汚染の基準値以下であっても、ストロンチウムの汚染度が基準値以上の農地では、絶対に農産物の生産を許可しないという対応をしているのです。
NHKのドキュメンタリーで紹介されたこの話は、覚えている人もいるでしょう。

一方、日本では農地のストロンチウム検査はあまりきちんとやっていません。
広いエリアでかなりまばらな感じで土壌のストロンチウム検査をやった程度です。
ストロンチウムは無視した上、セシウムの汚染度がわりと高い農地であっても、「カリウムで吸収を抑制すれば、基準値以下の農産物が作れるでしょ」という感じになっています。

こういう杜撰な対応を続けるとどうなるか?

ストロンチウムがそんなに降っていない地域では、カリウムによるセシウム抑制対策だけでいいと思いますが、問題なのは飯舘村や楢葉町や川内村、その他のそこそこ汚染度が高い地域での農業再開です。

カリウムによるセシウム抑制で農産物へのセシウム吸収率を大きく落とし、その状態でセシウムの検査をしただけでは「基準値以下になったぞ。バンザイ」となるかもしれません。
でも、実際はカリウムで大きく吸収を落とせたのはセシウムのみであって、まったく検査をしていないストロンチウムではひどい汚染度になっていたなんて事になりかねないのです。
たとえば汚染度の高い飯舘村で米を作ったら、「カリウムによる吸収抑制のおかげでセシウムは基準値以下になった。これで今後どんどん生産して全国へ出荷できるぞ!!」と喜んでいたら、実際はストロンチウムを後で検査すると汚染度がひどい・・・・・なんて事になりかねないのです。


日本もチェルノブイリ周辺国を見習って、きっちりとした検査を今後ずっと続けるべきです。
検査縮小などという阿呆な対応をせずに。

チェルノブイリ周辺国では、原発事故から数十年経った今も、市場に出回る農産物の検査を一日あたり数万サンプル検査を義務化しています。
(一方、日本は全国で、一日あたり200以下のサンプル検査しかしていない

チェルノブイリ周辺国では、これだけ多くの検査を継続しているからこそ、生産者側は手を抜く事なく毎年放射性物質抑制対策を続けていますし、消費者側は安心して農産物を買えて、それは売り上げ低下防止につながり、生産者のためにもなります。


また、チェルノブイリ周辺国では、農地の汚染度をこまかく区分けして行い、セシウムだけでなくストロンチウムの土壌検査もやった上で、「セシウムが基準値以下でも、ストロンチウムの汚染度が基準値以上だから、ここでは農作物の生産は禁止します」とやっているのです。

日本も同じ対応をすべきです。
毎日大量の検査を今後ずっと続けるとともに、農地も細かく区分けした上で、セシウムだけでなくストロンチウムの土壌検査も行い、「セシウムは基準値以下だが、ストロンチウムが基準値以上の汚染度なので、ここでは農産物の生産は禁止します」みたいに。


国側の不自然な検査縮小指導で基本的に検査しなくても良くなった農産物については、消費者側が抜き打ち検査を続け、もし高い汚染度が発覚したら、それを広く知らしめて、国の杜撰な対応をやめさせるようにするしかありません。

米の検査については、福島でもし全袋検査をもうしなくなったら、今現在福島の米を買っていた人達でさえ、「全袋検査しないと、中には強烈な汚染度の米もあるのでは?」と思い買わなくなる人が続出するのは火を見るより明らかで、結局それで苦しむのは生産者達です。
今後も全袋検査はずっと義務化すべきです。

また、前述のようにカリウムによるセシウム吸収抑制に頼りすぎて、他の放射性物質の事を見過ごしていると、カリウムでセシウムの吸収率を大幅に落としただけであって、実際は他の放射性物質はたっぷり含まれた作物になっていたなんて事になりかねないので、ストロンチウムの農産物検査もきちんとやっていくべきです。
幸い、短時間でストロンチウムを検査する方法も、ここ数年でいくつか新たに開発されてきました。


最後に、もう一つ注意しないといけないのが、高汚染の腐葉土・肥料の流通阻止です。
国は腐葉土や肥料の基準値を設定したものの、そもそも全ての腐葉土・肥料できちんとした検査をしないと、必ず高汚染の物が全国に出回ってしまうという、絶対に見過ごしてはいけない問題があります。

原発事故後に、10万ベクレル/kg越えの肥料が大量に発見され話題になりましたが、今現在も同じように高汚染度の物(特に腐葉土は高汚染になりやすい)が出回って、日本全国の農地に撒かれているかもしれません。

以下は、私が以前見た漫画ですが、この漫画でもその危険性が書かれています。
是非一読しておきましょう。

漫画 「日本全国の農地を汚染させるもの」
http://p.booklog.jp/book/47306

この漫画で書かれているように、肥料や腐葉土については、生産地を限定せずに全国の流通店での全ての袋の線量検査(ベクレル検査ではなく線量検査)を義務化して、空間線量から有為な変化が見られるほどの高汚染度の物は、農地に撒かれる前に絶対に排除するというのを、必ずやるべきです。
生産地を限定してしまうと、必ず産地を偽装して流通させる業者が出てくるでしょう。

日本では17都県の腐葉土の流通は一時的に制限されていたものの、今現在は解禁されて、そのせいで知らずに高汚染度の肥料・腐葉土が全国で大量に流通し、日本のあちこちの農地に撒かれているのです。

有志の方や、マスコミの方は、ホームセンターなどへ線量計を持っていって、線量計が空間線量から有為に変化してしまうような高い汚染度の物がないか、全国で定期的に抜き打ち検査をしてみるのをおすすめします。

posted by wanwan at 12:21| 記事 | 更新情報をチェックする

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