2012年03月24日

逆風の中、札幌市が改めて瓦礫の受け入れはできないと表明

・東日本大震災により発生したがれきの受入れについて


札幌市の上田文雄市長が、岩手・宮城の瓦礫については申し訳ないが受け入れできないという事を昨日3月23日に改めて表明したようです。
全国各地で「瓦礫を受け入れしよう」というおかしな風潮になってる中、こういう声明を改めて出す市長には敬意を表したいです。

この市長の声明では、

『国は、震災がれきの80%を被災地内で処理し、残りの20%のがれきを広域で処理することとし、今後2年間での処理完了を目指しています。
これに対し、「現地に仮設処理施設を設置し精力的に焼却処理することで、全量がれき処理が可能であり、また輸送コストもかからず、被災地における雇用確保のためにも良い」という意見も、被災県から述べられ始めています。』


と、こっちでも「20%の瓦礫の処理で、莫大な輸送コストをかけて全国に拡散し被災地から雇用を奪うよりも、80%現地でやれるなら全てを被災地でやった方がいいのでは?」と指摘していますね。
「8000ベクレル/kgまでなら埋め立てて良い」という、何の科学的根拠もなく決められたでたらめな数字に対してもきちんと否定をしています。
こういう風に正当な理由で受け入れを否定するところがもう少し増えていって欲しいものです。

ちなみに北海道といえば、黒松内町でも瓦礫を受け入れできないという事を表明しています。

・黒松内町は、震災がれきの受入れをいたしません。

すでにあちこちで取り上げられていますが、徳島の環境課の回答も素晴らしいものでした。


ところで、民間のセメント工場(太平洋セメントなど)が日本各地にある工場で瓦礫を受け入れて、焼却灰をセメント化して周辺に流通させると表明し出しました。
ここで気になるのは処理工場の「排水」です。
セメント工場といえば、市原エコセメントが1000ベクレル/lと、基準値を大幅に越えた汚染水を東京湾に何ヶ月も垂れ流したという事がありました。
(しかも平均して1日あたり300トンも放出)

・排水から15倍濃度セシウム 東京湾に放流1カ月半 市原の廃棄物処理会社
http://blog.goo.ne.jp/wa8823/e/ff82ac3be273dfb6453a03db23371931
(タイトルでは「一ヶ月半」と書かれているが、実際はもう少し長い間放出されていたよう)


リンク先の記事でもわかると思いますが、市原エコセメントのケースでは、処理や施設の洗浄で使用した水を放出する前にゼオライトで一回浄化処理しててもこういう数値が出ていたのです。
焼却灰についても、2000ベクレル/kg以下の物しか受け入れてなかったと。
(まぁ所詮サンプル検査なので、実際はこの数値は守られていたかどうか相当疑わしいです。)

放射性物質の含まれる焼却灰については、どこのセメント工場であれ処理する場合は、処理や施設の洗浄で使用した水の中に放射性物質が含まれる事になります。水の汚染度は焼却灰の汚染度に比例するでしょう。
排水前に何度も浄化処理して放射性物質濃度を極限まで落としてから放出するようにしないと、市原エコセメントのように下水や河川に大量に放射性物質を垂れ流す事になってしまうのです。
(焼却灰の汚染度により排水の汚染度も変わるため、市原エコセメントのように1000ベクレル/lはいかないでしょうが)
国は各地のセメント工場で焼却灰を処理させる場合は、新たに放射性物質を除去する装置をしっかり設置させて、しかも市原エコセメントのケースを見ると何回も何回も浄化処理させないといけないはめになるのですが、この点きちんと指導できるのか疑問がありますね。
(指導できてたら、市原エコセメントのようなケースは発生しなかったでしょう)
また、浄化処理などで使ったゼオライトなどは放射性物質をかなり吸着してて高濃度になるはずで、これらについても引き受け先を考慮しないといけません。

受け入れを決めて市や県の土地を汚染させたり、汚染が起きなくても風評被害で市や県の農産物や加工食品業、観光業などに大きな損害を与えた場合は、その受け入れを決めた市長や知事、町長などに対しては、被害を受けた人達が手を組んで後で民事訴訟を起こすというのは当然です。
これは過去の様々な裁判を見ても、「被害者は泣き寝入りせず、こういう行動に出る」というのは見てとれます。

同じように周辺を汚染した企業があれば、その企業に対して被害を受けた人達が手を組んで訴訟を起こすというのは覚悟しておいた方がいいでしょう。
今回のセメント工場みたいに受け入れを決めるところは、「周辺に汚染を起こさない」という事にしっかり配慮して対応しないと、後で大学や研究機関などの抜き打ち検査で、セメント工場の敷地近くの河底などの土壌調査で「放射性物質を大量に垂れ流ししていた」などと判明すると、色々なところへ賠償するはめになり、その企業の経営が一気に傾く事になるでしょう。
これは最終処分場の管理会社もそうで、どうしても受け入れる場合は、最終処分場の浸出水の排水についてもしっかり浄化処理をしないといけません。
しかも一度放射性物質がそれなりに含まれる焼却灰を埋め立てた処分場は、今後ずっと排水を浄化処理し続けないといけないという重荷を背負わされる事になってしまいます。
最終処分場が備えている今までの浄化設備では放射性物質はきちんと除去できないため、追加の設備を導入しないといけない上、そっちの運営コストも今後ずっとかかり続ける事になるのです。
正直受け入れるところにとってはわりのあわない話です。

焼却場では受け入れokでも、その焼却灰を受け入れていたセメント工場や最終処分場が受け入れを断るようになるというところも今後出てくるでしょう。
posted by wanwan at 16:04| 記事 | 更新情報をチェックする