2012年04月10日

瓦礫少量の遮蔽時の線量とベクレルの関係



http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/resource/disaster-waste/kankyo-taisaku.html

上記のページは、東京都が引き受けている瓦礫の検査結果を掲載しています。

以前テレビで見た時は、「瓦礫のサンプル検査については何ベクレルか計測している」みたいに言われていたので、てっきりサンプル検査ではベクレルを計測しているのかと思いましたが、瓦礫のサンプルを鉛の小型の箱に入れて空間線量を遮断して何マイクロシーベルト/hであるかの線量計測しかしていないようです。
(あと、数トンクラスのコンテナ1個につき、それぞれ1箇所・少量の塊ずつしか検査してないようです。各PDFの上の方の空間線量計測では「平均」とついてるのに対して、下の方の瓦礫のサンプル検査データでは「平均」はついておらず、各コンテナにつき1回分の計測データしかありません。ものすごい杜撰なサンプル検査ですね。)

多くの方が指摘されているように、「そもそもサンプル検査では瓦礫全体の平均的な汚染度は計れない。」という問題はあるのですが、このサンプル検査ですら瓦礫が何ベクレル/kgであるかの検査をまったくしていないと。

簡易検査や詳細検査では検体を細かく砕く必要があるので、そのためベクレルの計測をやっていないのでしょうか?
でもコンクリとかならともかく、木屑などは粉砕は普通に可能だと思いますが。実際木材のベクレル検査をしたケースは過去のニュースでも何度も聞いた事がありますし。

遮蔽時の線量だけデータとして掲載されても、正直「この線量だとkgあたり何ベクレルなの?」みたいな疑問がありますよね?
みんなが知りたいのは何ベクレル/kgなのかという数字なのですが。


ところで、東京都は「瓦礫のサンプルを鉛の小型の箱に入れて計測した際の線量(遮蔽線量)が0.01マイクロシーベルト/h以下なら運び出して良い」としています。
(東京都が作成した各PDFにも「搬出基準 遮蔽線量率(A)=<0.01マイクロシーベルト/時」、「遮蔽線量率とは鉛の小箱に瓦礫を入れて・・・」という風に書いています。)

瓦礫のサンプル検査は、以前見たテレビの映像では、およそ1kg分くらいの瓦礫を鉛でおおった箱に入れて遮蔽して線量を計測していたと記憶しています。

http://yanagase.org/2011/11/04/%E9%9C%87%E7%81%BD%E7%93%A6%E7%A4%AB%E3%81%AE%E5%8F%97%E3%81%91%E5%85%A5%E3%82%8C%E3%81%8C%E5%A7%8B%E3%81%BE%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%90%E3%81%9D%E3%81%AE2%E3%83%BB%E8%A6%96%E5%AF%9F%E5%A0%B1%E5%91%8A/

検索すると、上記サイトに検査の様子の画像がありますね。

計測に使う箱自体はそこそこの大きさがあるのですが、そこに入れられた瓦礫は握り拳より一回り大きい程度とかなり少量で、この量だとだいたい重くても1kgとかその程度でしょう。
仮に計測に使った瓦礫の重量を1kg分とし、これを遮蔽して計測した場合、例えば搬出基準値ギリギリの0.01マイクロシーベルト/hを示した場合は、その瓦礫は一体何ベクレル/kgでしょうか?
これについては別のニュースが参考になるかもしれません。


「140万ベクレル/kgのつばめの巣」というニュースを見た事がある人もいるのではないでしょうか?

福島の大熊町で採れたつばめの巣を千葉県の放射線医学総合研究所で計測したところ、kgあたり140万ベクレルあったとの事。
また、巣(1個分だったと思います)を至近距離で線量計測したところ、毎時2.6マイクロシーベルト/hの値を示したようです。(この場合は空間線量を遮断せずに計測)

計測に使われたつばめの巣の具体的な重量はわかりませんが、一般的なつばめの巣1個の重量はだいたい300gやもう少し軽いくらいでしょうか?

重さを300gとして、kgあたり140万ベクレルなら、総量としては140万ベクレル/kg*0.3kgの計42万ベクレルという事になります。
42万ベクレル分の放射性セシウム(134と137の合計)と他の核種が付着した物に線量計を至近距離まで近づけて計測すると、2.6マイクロシーベルト/時の値を示したと。
(ちなみに「50cm離すと0.08マイクロシーベルトまで落ちた」とも報道されました。)
千葉の空間線量が0.05~0.1くらいだとすると、遮蔽時の線量は2.5マイクロシーベルト/hや、それを少し越える程度という事になると思います。

東京の瓦礫のサンプル検査に使っている量は仮に1kgとして、その1kg分の物が遮蔽して計測した時に搬出基準ギリギリの0.01マイクロシーベルト/hを示した場合は、つばめの巣のデータから推定すると汚染度は1680ベクレル/kgという事になります。
つばめの巣の重量や、瓦礫のサンプル検査の重量が実際は正確にはわかってないのでこの数値はおよそ2倍~1/2くらいの幅が出てくるとは思いますが、それでも東京の搬出基準(遮蔽線量で0.01マイクロシーベルト/h)は、100ベクレル/kgとか200ベクレル/kgとかそんな生易しいレベルの基準値ではないのはわかるでしょう。
瓦礫は焼却すると何十倍にも濃縮されます。東京の一般ゴミと混ぜて薄めるつもりでしょうが、混合比率によっては国の緩めの基準値8000ベクレル/kgさえ越える灰ができてしまうでしょう。


「搬出基準値0.01マイクロシーベルト/hといっても、そこまで出ている物は今のところはない」と言われるかもしれません。
確かにそうです。東京都の結果でもサンプル検査では0.01に近い値はまだ出ていません。
ただ、瓦礫は個々に汚染度は全然違います。これは東京が出してるデータでもしっかり証明されています。
PDFデータを見ると、同じ場所の瓦礫でもサンプル瓦礫の遮蔽線量が一定ではなく、計測ごとにかなり数値に幅があるのが見てとれるでしょう。
場所が変わってもまた違ってくるというのがありますから、今の値だけ見て安心するのはどうかと思います。


そもそもこの「サンプル瓦礫の遮蔽線量が0.01マイクロシーベルト/hまでなら搬出してよい」とは一体何を根拠に設定した数値なのでしょうか?
ベクレルで言えば、国の設定値でも「瓦礫の運び出してよい汚染度は200~500ベクレル/kg程度まで(焼却すると何十倍にも濃縮されるので)」という事になってるはずです。
ところが実際は東京都はその何倍にも高い汚染度の瓦礫まで運び出して良いという事に設定しているようです。ベクレルではなく線量値での基準値設定と計測しかしてないので気づいてない人も多いようですが。

この値を搬出基準のままにすると、0.008マイクロシーベルト/hとかでもokという感じで、サンプル検査で1000ベクレル/kg以上普通に出ていても「運び出して良い」という事で、国などが想定している緩めの汚染度よりもっと高い物が普通に搬出されてしまう事になりかねません。
また、もし瓦礫を受け入れてしまう他の自治体が東京の基準を真似てしまうと、サンプルで余裕で千ベクレル/kg以上出ていても、それに気づかずにじゃんじゃか全国へ運び出してしまう事になるでしょう。
遮蔽線量ではありませんが、コンテナの空間線量については、大阪は東京の設定値を真似たような値の設定をしています。(「100ベクレル/kg以下の瓦礫しか引き受けない」などと言っておきながら、何故かコンテナの空間線量とかは東京の数値をかなり真似た高めの設定にしている。)
サンプル検査の搬出基準値(遮蔽線量)についても東京の設定をろくに検証せずそのまま取り入れてしまうところも出てくるのでは、と危惧します。


サンプル検査では瓦礫の全体的な平均汚染度を導き出せないとはいえ、判断のための一要素として、このサンプル検査においても線量ではなくしっかり何ベクレルかを検査して示すべきだと思います。
ベクレルではなく線量の表示だけでは「そのサンプルが何ベクレル/kgか」がわかりませんし、何のためにいちいち瓦礫のサンプルの遮蔽線量を計測してデータとして添付しているのかという事になります。

posted by wanwan at 17:19| 記事 | 更新情報をチェックする